概要
マンション管理組合の議題でよく取り上げられる「耐震診断」。しかし、多くのマンションで議論はするものの結局行われないことが多い。この「耐震診断スルー」の実態と背景には、住民それぞれの思惑と、誰もが薄々感じているけど決して口にはしない「揺れる」理由がある。本記事では、そんな耐震診断スルー問題の本音や住民心理を深堀りしつつ、マンション住人なら知っておきたい有用な情報も交え、カジュアルに、時おりジョークを交えてお伝えしよう。
耐震診断をスルーする本当の理由
実は、マンション住民の間で耐震診断の「実施」を議論しても、結局「保留」や「来年の議題に…」とずっと先送りになる現実が多くみられる。面倒さやコストなど表面上の理由に加えて、実はさらに深い理由がある。
資産価値が下がる不安
マンション所有者の心の底で渦巻くリアルな本音がこれだ。「診断した結果、もしも危険な判定が下されたら不動産価値がガタ落ちになるのでは？」という恐怖心が生まれる。「知らぬが仏」と人は言うが、「知らぬが不動産価格も安泰」というわけである。
診断コストが意外と高い！
また現実問題として、「じゃあ診断やりましょう！」となったときの金額にビビる住民も少なくない。診断の相場価格は規模にもよるが数十万～数百万円と決して安くない。診断だけでも財布は揺れるわけだから、安全のためとはいえ二の足を踏む人が増えるのも仕方がない。
住民が語らない「揺れる」心理とは？
住民が耐震診断をスルーしてしまう背景には、個人心理だけでなく集団心理的な理由もある。
他人任せの心理バトル！
マンション住民同士はある意味、共通責任を共有している。耐震診断のように「お金を使って面倒を起こす」決断には誰もが消極的になる。「まあ、僕が言わなくても〇〇さんが言うだろう」「○○さんってこういうこと厳しいから、きっと指摘してくれるよ」と住民同士が、心理的な責任バトルという揺らぎを感じてしまう。それにより、最終的には誰も発言せず、結果としてスルーされてしまうのだ。
意見対立で住民の関係性が揺れる？
いつも通り穏やかに管理組合総会を終えたい住民は、面倒な議論を避けたがる。「若い世代vs古い世代」、「賃貸オーナーvs居住者」、「単身者vsファミリー層」など価値観や住む事情によって考え方が揺れることをなんとなく予想し、結局全員が黙ってしまう現象が起きる。
具体例から探る実態
『安心見送りマンション』（仮称）のケース
少し前、都内郊外に位置する築40年超のとあるマンションで耐震診断を議論したときのこと。「診断したら、私たち住めなくなる？」「地価が暴落するかもしれないぞ！」など住民がパニック状態になり、診断の決定が棚上げされた事例がある。翌年の総会では誰もこの話題に触れなくなり、まるで耐震診断がタブーとなった。このように短期的な心理的安心をとることで、長期的リスクへの取組みが「先送り」される典型例といえる。
『財布が揺れるマンション』（仮称）のケース
関西地方の60戸規模のマンションで耐震診断の議案が出たが、診断費用が200万円以上と提示され、住民が一瞬で団結の「揺れ」をみせ、「それなら屋上緑化がいい」「防犯カメラの方がよくない？」と話題が逸れてしまった。結局、耐震診断は「財布に打撃が大きすぎて」スルーとなり、そのまま2年以上議題にすら上がっていない。
科学データから見る診断スルーのリスク
「安全神話」への依存
日本は地震大国にもかかわらず、多くの人が自分はいつまでも大丈夫だと信じている心理「正常性バイアス」に陥っているという研究もある。たとえば、兵庫県南部地震（阪神・淡路大震災）後の調査では、「我が家は大丈夫」と感じている人ほど事前の安全対策を取らず、被害が大きくなっているケースもある。「揺れる」心理と向き合わないと、将来の大きな揺れが致命傷になりかねないのだ。
耐震診断実施に向けた現実的アプローチ
心理的ハードルを低くしよう
まず「診断コストの助成金」を行政から活用することで費用負担を下げる工夫が可能である。その上で、将来の資産価値向上や安全をシナリオに盛り込み、「やるなら今！」という意識への誘導が重要だ。また、専門家を呼ぶミニ勉強会を開いたり、他マンションの成功事例から学ぶ工夫をするなど、多彩な心理的スイッチを入れる必要がある。
まとめ
マンション住民たちは耐震診断という重大テーマを抱えつつも、さまざまな「揺れる」心理が原因で実際のアクションに移れないことが多い。この課題は、一人ひとりが正しく意識し乗り越えるべきである。しかし、高コスト、不安、責任転嫁など心理的な問題が絡み合うことを考えると、組合側も住民心理に配慮した現実的な解決策を示すことが求められる。「震えて眠る」より、「少し揺れても安心して眠れる」マンション作りを目指したい。
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