「誰の下にもつきたくないし、誰の上にも立ちたくない」——その願い、叶いますか？
今年の新卒採用面接において、ある大手IT企業の人事担当者が面食らったという。
「志望動機は、“上司も部下もいない部署があれば、そこに配属してほしい”です」
面接官が「具体的にはどのような業務を？」と尋ねると、
「一人で完結する、誰にも干渉されず、でもリモートで相談は受ける業務が理想です」と真顔で答えたという。
彼は特別ではなかった。
今、“出世したくない若者”が増えているだけでなく、**「指示されるのもしたくない」**という“中間拒否型”の志向が静かに広がっている。
ヒラ専・個別行動主義・ノー階層化志向――令和の新人は「組織に属さず働きたい」
某就職情報サイトが2025年に行った調査によると、
「将来、管理職になりたい」と答えた20代の割合はわずか11.4％。
その一方で、「誰かに細かく指示されるのはストレス」と答えた若手社会人は**実に72.8％**に上った。
この“上にも下にもいたくない層”は、自己流で働きたい、チームには入らないが孤立はしたくない、
責任は重くしたくないがやりがいは感じたい、という絶妙にわがままで理にかなった欲求を抱えている。
彼らは「会社辞めたい」とは言わない。むしろ会社には残りたい。
ただし、“誰の下にも付かない孤高の島”があれば、そこに住みたいだけだ。
ある若手社員の本音：「昇進って“時間を失う呪い”でしょ？」
都内の出版社に勤める入社3年目の男性（26）は、昇進の打診を断った。
「係長になると、朝会・進捗管理・後輩のメンタルケア……急に“雑務の三重奏”が始まるじゃないですか。俺、それやるためにここ来たんじゃないんで」
では、逆に“指示される側”も楽ではないのでは？と尋ねると、
「いや、上司の顔色うかがって仕事するのもムリなんですよね。今って、“怒られてない＝評価されてる”って感覚じゃないですか？ むしろ、誰にも指示されたくないです」
彼の理想は「働いてるけど誰とも干渉しない島」、言うなれば**“ヒラ特区”**だという。
企業の声：「そんな部署、存在しない。でも…ちょっと作りたくなってきた」
こうした志向に企業側も頭を悩ませている……と思いきや、意外な反応も。
大手メーカーの人事部長はこう語る。
「昔は“出世＝男の勲章”みたいなもんでしたが、今は“避けられる罰ゲーム”。でも彼らが求めてるのは“サボり”じゃなく、“選択肢”。
一人で回せるスキームや、裁量あるヒラ職を設計し始めてます」
実際に、とあるベンチャー企業では、社員が**「階層に属さない働き方」を選べる制度**を導入。
「マネジメントルート」「プロ職ルート」「完全個人ルート」など、自由度の高い配属選択が話題を呼んでいる。
AI分析：ピラミッド構造はもう古い？
職場設計AI「Layerless-9.3」は、この現象を以下のように分析している。
「現代の若手は“組織の中での位置”より、“自分の状態”を最適化することを重視する。
指示されること＝自由の制限、指示すること＝責任の負担と捉え、
結果として“どちらも避ける”という合理的行動をとっている」
つまり、彼らはただの“ゆとり”でも“逃げ”でもない。責任も、命令も、“構造”ごと敬遠しているのだ。
それでも働きたい。“自分のやり方で、誰にも干渉されずに”
若者は決して“働きたくない”わけではない。
むしろ、自分なりに熱中し、価値を出したいという欲求は強い。
だがそれが、昭和型の「上司の背中を見て学べ」スタイルではなく、
「とりあえず一人にしてくれ。そのうち何かするから」スタイルなのだ。
ある種の**“サイレント反乱”**である。
旗も立てずに、戦わずに、ただそっと“誰もいない場所”を選び続けている。
まとめ：“誰の上にも下にもなりたくない”という進化系働き方
もはや「出世＝正解」「命令＝安心」という時代は終わった。
いまや、“中間のない働き方”を志向する若者たちが、静かに職場の構造を変えつつある。
「上司も部下もいない部署で、できれば昼寝もOKな環境が理想ですね」と笑う若手社員の言葉に、
令和という時代の“働く価値観”が詰まっているのかもしれない。
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