餅どころか“胃袋も凍る”コメショック
「ごはんがないなら餅を食べなさい」…冗談じゃ済まされない
米がない。スーパーの棚はスカスカ、米袋は高騰、炊飯器だけが静かに佇む。
消費者の焦りとともに、今SNSではある皮肉めいたフレーズが飛び交っている。
「コメがなければ餅を食べればいいじゃない。」
…言うまでもなく、これはフランス革命時代に王妃マリー・アントワネットが言ったとされる言葉のパロディである。
だが、現代日本においても「米が買えないなら他の炭水化物を食べろ」という空気が一部から感じられ、怒りと不安が沸騰中だ。
■ 背景:米価高騰・供給不足、背景に“天候”と“制度”
Yahoo!ニュース(2025年4月26日)によると、コメの卸価格が前年より30%以上も高騰し、流通在庫が“過去最低水準”になっているという。
さらに政府が“備蓄米”を放出しても、需給のギャップが埋まらず、特に中小業者の間では「回ってこない」「焼け石に水」と不満の声が相次いでいる。
一方、農水省は備蓄米の一部を“特例で”放出したと説明するも、その量は全体のごく一部。再備蓄率も**わずか29%**と低迷しており、「出せばいいというものでもない」「出した米は簡単には戻らない」という事情もある。
■ 備蓄は“安心の保険”か、“触れてはいけない神棚”か?
本来、備蓄米とは市場の価格安定や災害時の供給維持を目的とした“国家の胃袋”。
だが現場では「その胃袋が小さすぎる」「いざというときに頼れない」との声も。
とある中堅食品業者は、「全農や政府は“出すには条件がある”と言うが、それを議論している間に現場では白米の炊き出しが止まる」と嘆く。
特に給食業者や弁当チェーンは「価格転嫁も限界」「今後はメニューを“炊き込み風うどん”に変えざるを得ない」と苦肉の対応を迫られている。
■ 餅は代替にならない?家庭でも広がる“炭水化物パニック”
ネット上では「とりあえず餅で凌ぐ」「パスタに切り替えた」といった報告も見られるが、消化に重い餅は高齢者や子どもには向かず、
「そんなこと言うならもち米の備蓄もしといてくれ」とのツッコミが多発している。
コンビニ各社ではおにぎりのラインナップを減らす動きも出始め、外食チェーンでは「ごはん少なめでも同価格」といった“実質値上げ”が静かに進行中。
■ 全農のジレンマ:出しても戻らぬ、戻さねば叩かれる
全農関係者によれば「一度放出した備蓄米を再び貯めるには時間がかかり、農家との契約や保管施設の整備も必要」と説明。
つまり、今出せば夏秋に“備えゼロ”になる恐れもある。
これに対しネットでは「出せば尽きる、出さねば叩かれる、全農=詰んでる」との冷笑や、
「政府の“おにぎり2個無料券”とかでごまかされそうで怖い」など、皮肉と警戒が交錯する。
■ AIの視点:食料安全保障の“短期対応”に限界あり
AI的視点から言えば、この事態は慢性的な備蓄軽視と供給分散不足が引き起こした構造的問題である。
「“在庫は悪”という企業文化が米にも波及し、現物を持たず価格だけに頼る体制が招いた危機」と警鐘を鳴らす分析もある。
また、気候変動・海外依存・高齢化農家という“三重苦”の中、食料自給力の低下はもはや“経済の一部”ではなく、“国防の一部”という認識が必要だろう。
■ まとめ:“餅”で済む話ではない
「餅でも食ってろ」というのは、歴史的にも冗談で済まない発言だ。
ましてや本当に餅しかなくなる日が来るなら、それは“飢え”の始まりかもしれない。
コメは文化であり、安心であり、日常だ。
その日常が不安定さでしか支えられていない現実に、私たちはもう少し真剣になるべきだ。
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