「今日も誰かがブチギレ中」SNS、怒りの連鎖が止まらない世界線へ

AIトレンド

2025.05.02

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スクロールすれば怒声が飛んでくる時代

とある朝、目を覚ましてSNSを開くと、いつもの光景が広がっている。

「これは常識的に考えて許されない」
「なぜ誰も声を上げないのか？」
「もう黙ってられない」

――何に怒っているのかは一瞬で分からない。
だが、誰かが激怒していることだけは確実に伝わる。
それが現代のSNSの“空気”である。

かつては猫の動画や昼ごはんの写真が主役だったタイムラインも、
今や**“怒りのラジオ体操”**のように、朝昼晩と定時に炎上が起きるのが当たり前になった。

専門家の分析によると、2020年代に入ってからのSNSは「怒りの即時性」と「感情の転写力」が格段に向上したという。

という**“立体的ブチギレ構造”**が完成されてしまった。

これを「怒感構造（どかんこうぞう）」と名づけた社会心理学者・阿南氏はこう語る。

「怒りの対象が“事件そのもの”から“その反応”、“その反応に対する反応”へと無限分裂していく現象です。怒りはもはやコンテンツです」

近年注目されているのが、「怒る理由は後で探す」タイプの投稿者たちだ。

彼らは、

という、感情逆算型アウトプットを日常的に行っている。

SNSマーケティングの専門家はこれを「感情主導の共感戦略」と説明する。

「怒りは最も拡散しやすい感情です。正義感のように見える怒りは、RT（再投稿）されやすく、結果として影響力が強まる。だから、“怒ってる人”の姿勢そのものがコンテンツになるんです」

炎上の大半は「正しい怒り」から始まることが多い。

こうした事例に対する怒りは、社会的にも意味がある。

だが近年では、

といった、**極めて“解釈の余地が大きい怒り”**が拡散するケースが急増している。

その結果、

という、“怒り依存症”すら指摘される状況に陥っている。

そんな中、注目されているのが“ブチギレ代行”サービスだ。

あるベンチャー企業は、依頼者の代わりにSNS上で怒ってくれるアカウント運用を請け負っており、
「クライアントの社会的立場を保ちつつ、憤怒の代弁を行う」ことをうたい文句にしている。

料金体系は以下の通り：

怒りすらも業務委託される時代。
この国の感情経済は、もはや資本主義の最前線である。

怒ることは、大事だ。
声を上げることは、尊い。
でも、怒ることに慣れすぎた社会は、
やがて怒りを“義務”のように感じ始める。

朝起きて、今日の怒りネタを探し、
昼に発信し、夜に疲れて、次の日もまた探す。

それは、怒りで回る社会。
それは、怒りが空気のようになった世界線。

果たして我々は、本当に怒っていたのだろうか。
それとも――怒ることで、何かを“保って”いたのだろうか。