概要
近年、空前の「もふもふブーム」がやってきている。猫カフェのブームにより、動物との触れ合いを求める人が増加している一方、動物園や水族館などではその人気に押され、動物飼育員たちが意外な悩みを抱えることに。不思議な現実、「もふもふブーム」の裏側と、その波が彼らに与える影響、知られざる飼育員たちの声をのぞいてみよう。
空前の「もふもふブーム」が起こした社会現象
「仕事帰りにちょっと癒されたい」「休日は『もふもふチャージ』が必須!」——ここ数年、都会ではこうした言葉とともに猫カフェが爆発的に増加している。InstagramやTikTokなどSNSでも、もふもふした動物たちの写真や動画が大流行をみせる真っ只中だ。
猫カフェの人気を支えるのは、「ペットを自宅で飼う余裕がないけど、動物の癒しを求めたい」という若い世代から、育児がひと段落し癒しを求める中高年層まで幅広い層である。
人気の裏側で生まれた意外な「被害」
しかし、このもふもふブームによって、笑顔ばかりではいられない人たちがいる。「もふもふと言えば猫」、「動物と言えば猫」、「可愛いと言えば猫」と、世の中が「猫中心主義」と化し、動物園や小規模な動物施設などで働く飼育員たちが抱える悩みが表面化しているのだ。
飼育員の知られざる悩みとは?
「とにかく猫の人気が強すぎます」とある地方動物園の飼育員は語る。「園の頑張っている動物たちの写真をSNSに載せても、『猫の写真ないの?』といった声が寄せられることもしばしば。ゾウだって、カピバラだって、しっかり癒してますよ!と心の中で叫びたいことがあります(笑)」
マイナー動物の必死の努力が実らないジレンマ
従来ならば人気だったはずのウサギやレッサーパンダ、フェレットなど「もふもふ動物」ですら、猫と比べられると存在感が薄れがち。飼育員たちは日々、工夫を凝らしてSNS発信や独自の触れ合いイベントを実施しているが、なかなか注目されないという。「猫に頼るわけにもいきませんしね。うちって動物園なんで(笑)」と冗談を交えつつ語ってくれたのが印象的だ。
珍獣たちが猫コスプレ?——苦肉の策も…
ある地方のテーマパークでは最近、アルパカやヤギに「猫耳」をつけ、SNSに写真をアップするなど、冗談を兼ねた苦肉の策も。他にも巨大ぬいぐるみタイプの猫を並べた「猫好きも歓迎スポット」を設置したところ、予想外に話題になったという。しかし、これらの試みには、飼育員たちにとって「本当に動物たちを愛して来てくれる人を増やす」ことへの複雑な想いもあった。
「もふもふ」だけが動物の魅力なのか? 専門家の意見
動物福祉やコミュニケーションを専門とする研究者からは、重要な指摘もある。「癒されるという感覚が動物への好意を生むことは良いことです。ただ、『見た目が可愛いかどうか』ばかりに囚われると、多様な生態や動物自体への関心が薄れてしまう懸念があります。動物園はそもそも動物の多様性を理解させる場でもあるのです」と、ブームの一面化された”もふもふ主義”に警鐘を鳴らしている。
今後の展望:「もふもふ共存」の道とは?
今後、動物施設と飼育員たちが目指す「共存策」とはなにか? 現実解としては、「人気動物」と「マイナー動物」の両方が注目される共存型イベントの工夫が求められる。また、飼育員や関係者は「SNSを活用した動物の個性化、ストーリー強調」などによって、新たなファン層を開拓することが有効な手段であると見る。
鍵を握るのは「個性」のアピール
「猫が好き」という人も、実はその単に「猫」という生物が好きなのではなく、一匹一匹の個性、振る舞い、性格に惹かれていることが多いという。動物園や施設側も、もっと動物一頭ずつのストーリーやキャラクターの魅力発信に工夫を凝らせば、新たな人気を獲得できる可能性が高まるだろう。
まとめ
「もふもふ」ブームは、多くの人を癒す一方で、猫人気に押され苦難に立たされる飼育員やマイナー動物という課題を生んでいる。今後は動物の個性や物語を伝え、多様な魅力を積極的に発信していく戦略が求められるだろう。単に「もふもふ」だけでなく、動物そのものに対する本当の関心を高めていくことこそが、「真の癒し」につながるのではないだろうか。
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